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第38回自然科学研究機構シンポジウム
第38回自然科学研究機構シンポジウム講演者2
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水落 憲和(みずおち のりかず)
京都大学化学研究所 教授
1995年 東北大学理学部化学科 卒業
1997年 東北大学大学院理学研究科化学専攻博士課程前期 修了
2000年 東北大学大学院理学研究科化学専攻博士課程後期 修了 博士(理学)取得
1999年 日本学術振興会 特別研究員
2000年 図書館情報大学 助手
2002年 筑波大学図書館情報学系 助手
2005年 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 講師
2010年 筑波大学大学院数理物質科学研究科 講師
2010年 大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻 准教授
2016年 京都大学化学研究所 教授
「ダイヤモンドを用いた高感度量子センサ」
ダイヤモンドの魅力は何かと問われれば、多くの方は、誰をも魅了する宝石としての輝きとお答えになるのではないでしょうか。このダイヤモンドは無色透明なほど珍重されますが、一方でピンク色などの色を呈するものもあります。それらでは微量の不純物元素により色を呈します。その不純物の一つとして窒素-空孔(NV)中心と呼ばれる不純物欠陥があります。
窒素(N)と炭素原子の欠けた空孔(V)が隣あわせとなったNV中心は、 科学者から見て魅力的なすばらしい性質を持ちます。NV中心がもつスピンを用いることにより、重ね合わせ状態などの量子状態を作り出し、利用することができます。また、1個のスピンを観測することができる点もユニークな点です。これにより、量子コンピュータや量子暗号通信に用いる素子、及び量子センサへの応用が期待されています。
NV中心を用いた量子センサに関しては、周辺の磁場に鋭敏なため、超高感度量子磁気センサとして利用可能です。また、磁場以外にも NV中心は電気、温度などに対しても高い感度を示してくれます。これらの特長を利用することにより、生命科学から基礎物理などの幅広い分野で、これまで見ることができなかったものの中で、見ることができるようになるものが出てくると期待されています。本講演では、世界的 に注目されてきているダイヤモンド中のNV中心と、それを用いた量子センサについて紹介させて頂きます。